メリット
変形労働時間制を導入し、上手に活用することにより次のようなことが期待できます。
ほんの一例ですので、各企業の運用方法によりもっと多くのメリットや効果を見出すことも可能です。
例えば、「割増賃金の削減」に関しては、削減した原資を、短時間で業務を終えて結果を出している従業員に対する給与の上乗せとして支給し、労働者のモチベーションアップにつなげていくことや、福利厚生を充実させるなど様々な選択肢が生じます。
「総労働時間の減少」に関しては、過重労働による疾病の予防、心身のリフレッシュ、自己啓発の時間捻出などにつなげていくこともできますね。
このように、変形労働時間制の導入から得られるメリット・効果は様々なものが期待できます。
導入に向けて
変形労働時間制のメリットについて触れましたが、制度を設ければどの企業も労働時間や割増賃金の削減につながるのか?というとそうとは限りません。
運用がうまくいかない場合は「メリット」として掲げていたものが、すべて正反対の結果として出てくることもあります。
注意点
注意点をいくつか掲げますね。
変形労働時間制を導入した後も「周囲の人が残っているから帰りにくい」「休みと設定した日も仕事が気になって出勤する」など、従来と変わらない働き方をし、結果として総労働時間が長くなってしまうこともあります。
変形労働時間制の特長は「忙しいことが分かっているときは長めに(あるいは出勤日数を多く)働き、その代わり繁忙期ではないときは短い時間(あるいは出勤日数を減らして)働く」というものです。
会社全体で制度趣旨を理解しながら上手に活用していきましょう。
事業の内容から「繁閑の差はつけにくい」という場合は、そもそも変形労働時間制の導入が適していないということもあります。
その場合は、変形労働時間制導入以外の方法(作業工程や人員配置の見直し、設備の改善、教育訓練による技能向上など)を検討しながら日々の労働時間短縮を図っていくことも可能です。
労働時間削減の目安
労働時間の長さと過重労働による健康障害のリスクの関連性ついて、厚生労働省では次のように公表しています。
厚生労働省:「過重労働による健康障害防止のための総合対策」
(平成18年3月17日付け基発第0317008号、平成20年3月7日付基発第0307006号で一部改正)
参考パンフレットのリンク
過重労働による健康障害を防ぐために(厚生労働省)
時間外労働が毎月80時間を超えているときは、まずは80時間を下回るようにし、その後も45時間以内に納まるよう削減策を講じていきたいところです。